地域学-地域を可視化し,地域を創る-

宮町良広 編, 田原裕子 編, 小林 知 編, 井口 梓 編, 小長谷有紀 編

4,400円(税込)

古今書院

本書は、地方創生、地域イノベーション、まちづくり、観光、教育などに携わる人のために、地域学をめぐる理論的枠組みをはじめ、日本各地の「膝うちもの」ベストプラクティスを紹介した。さまざまな地域にあてはめられる知見を盛り込み、人口減少時代における地域が抱える問題解決のヒントを示した。
[登場する地域]北海道大樹町、青森県弘前市、岩手県釜石市、宮城県仙台市、山形県米沢市、福島県福島市、福島県南相馬市、新潟県小千谷市、東京都渋谷区、神奈川県愛川町、神奈川県平塚市、富山県氷見市、福井県池田町、滋賀県近江八幡市、京都府京都市、大阪府大阪市、熊野灘沿岸、島根県海士町、島根県松江市、広島県東広島市、愛媛県内子町、福岡県北九州市、筑後川、大分県佐伯市、熊本県美里町、熊本県水俣市

[目次]

序 地域学のすすめ-地域の可視化-[小長谷有紀]

第1部 地域学の見方・考え方

第1章 地域の希望学-その考え方と実践-[玄田有史・中村寛樹]
1.希望再生の条件
2.KNT理論という仮説
3.小ネタがもたらす効果
4.地域に撒く「小さなタネ」
5.大ネタの開発主義
6.小ネタの積み重ねと連携
7.ブリコラージュとエンジニアリング
8.社会起業家のブリコラージュ
9.ありのままの小ネタ
10.地域で小ネタを分有する仕組み
11.地域の小ネタを生かす

第2章 少子化・人口減少に向かう国家と地域-地域学の視点と課題-[山下祐介]
1.地方消滅と限界集落
2.地域学をはじめよう-地域と実存
3.生活世界としての地域
4.国家と地域の深い関係
5.社会システム論という視点-文化と構造変動
6.近代化に抗する地域学
7.問題の打開は地域からはじまる

第3章 市民の地域学-地域を大切にして生活するために-[岡橋秀典]
1.はじめに
2.地域学の見取り図-市民の地域学との関係
3.市民が行う地域学と市民を支える地域学
4.地域に開かれた博物館と市民の地域学
5.おわりに

第4章 新しい野の学問
-専門家と地域の人びとが一緒に学ぶ「協学」のすすめ-[菅 豊]
1.はじめに-「野の学問」から「新しい野の学問」へ
2.教え,教えられる関係性
3.「頼まれたら手伝う」という姿勢
4.「プロジェクト」を立ち上げる
5.共に学び,共に教える経験
6.まとめ-協学のすすめ

第5章 地域という専攻-存在理由,ジレンマ,可能性-[小林 知]
1.地域というセンモン?
2.成立の経緯
3.必要とされる理由
4.ジレンマを超える
5.可能性

第6章 地域からセーフティネットを構想する-ホームレス調査研究の経験から-[水内俊雄]
1.セーフティネット研究は極めて政策がらみ
2.研究のセーフティネット指向はホームレス調査に端を発する
3.Unknownな研究対象は取り組み甲斐がある
4.ホームレス自立支援センターや無料低額宿泊所に注目する
5.東アジアではホームレスへのセーフティネットはどうなっている?
6.本格的なセーフティネット構想につながる調査の全国化
7.地域から組み立てる包容力あるセーフティネット構想

コラム 地域とドローン[小林 知]

第2部 地域学とひとづくり

第7章 人口減少時代における地域学の学び-地域学の実践と集落の記録づくり-[井口 梓]
1.人口減少社会と地域学-中山間地域の集落の行く末
2.地域の伝統芸能の復活を契機とした地域学
3.地域の資源や記憶・経験を記録しアーカイブする意味
4.広がる地域学と多様なアプローチ-「現在」の地域を発見する-

第8章 地域学における学びと学びの評価[岩瀬峰代]
1.本報告の背景-地域学における学び
2.地域学における学びの枠組み
3.経験学習の展開
4.地域学における学びを深めるために
5.地域連携教育プログラムの開発
6.企画提案とチーム活動
7.受講生の個人の学びの分析
8.参加企業の方々の学びの分析
9.地域学における学びと学びの評価に関するまとめ

第9章 高校魅力化による人材養成と地域づくり[宮町良広]
1.はじめに
2.高校と地域づくり-従来の捉え方
3.新時代:隠岐島前高校における魅力化
4.卒業生の域外流失のとらえ方
5.おわりに-人づくりから地域づくりへ

第10章 多文化教育と地域学-神奈川県愛川町をフィールドとした社会科教員養成の実践から-[池口明子]
1.はじめに
2.多文化社会の教員に求められる力
3.愛川町の地域資源と多文化社会
4.教員養成カリキュラムにおける多文化教育と地域学
5.おわりに

第11章 地域についての学びと観光[吉田道代]
1.はじめに
2.日本における訪日外国人旅行者誘致策
3.地域における文化財の活用:日本遺産
4.小中学校における観光教育の推進
5.住民による地域についての学びと観光
6.おわりに

第12章 食と農と地域の連携-福島大学食農学類における学生参画型実践教育の取り組み-[小山良太]
1.はじめに
2.災害でわかった新しい農学の必要性
3.福島大学食農学類の特徴
4.福島大学おかわり農園の取り組み
5.地域との連携
6.おわりに
コラム 私と地域と協働と-対等であることは難しい[井口 梓]

第3部 地域学とまちづくり

第13章 「まちづくり」概念の成立と地域学[増田 聡]
1.はじめに-1990年代以降の私的「まちづくり」活動史
2.「まちづくり」-用語の誕生と概念整理
3.広義の「まちづくり」-次元幅の拡大と分野・目的・主体の多様化
4.おわりに-まちづくり概念の形成と地域学

第14章 歴史都市京都の地域の知を蓄積・発信するバーチャル京都[矢野桂司]
1.はじめに
2.歴史都市京都の地域の知を活用するためのバーチャル京都
3.バーチャル京都上で様々な地理空間情報を重ねる
4.おわりに-地域の文化資源のデジタルアーカイブの推進

第15章 渋谷再開発とまちづくり-渋谷リバーストリートと渋三さくら祭-[田原裕子]
1.本稿の目的
2.都市再生政策が後押しした「100年に1度」の渋谷再開発
3.河川行政の転換と渋谷川の再生
4.渋谷リバーストリートの整備
5.渋三さくら祭について
6.展 望

第16章 「小さな物語」が織りなす「まちの物語」-大分県佐伯市船頭町界隈の日常-[中澤髙志]
1.客観的認識と「小さな物語」に関する前置き
2.種まきの時期
3.開花するリノベーションと船頭マチイチ
4.まちの変化の共振動
5.佐伯観を反転させる

コラム 進水式を推進せよ[中澤髙志]

第4部 産業経済と地域学

第17章 「選択される地域」と「企業の地域学」の展開[佐無田光]
1.はじめに-現代日本の「ローカル」ブーム
2.企業と地域学
3.「企業の地域学」の可能性:近江八幡市の事例より
4.まとめ-「企業の地域学」と「市民の地域学」

第18章 産業立地からみた地域の発展と変容[近藤章夫]
1.はじめに
2.米沢地域の概要
3.米沢市の産業立地の変遷
4.外来型開発から内発的イノベーションへの模索
5.おわりに

第19章 大規模災害からの創造的産業復興-南相馬市のロボット・ドローン振興-[山川充夫]
1.はじめに─東日本大震災・原子力災害と南相馬
2.ロボット活動拠点が得やすい施設環境づくり
3.資金調達がしやすい環境づくり
4.実証実験がしやすい環境づくり
5.おわりに-南相馬市ロボット・ドローンの成果と課題

第20章 包摂的成長と地域[松原 宏]
1.はじめに
2.地方創生施策の成果と課題
3.包摂的成長と地域-福井県池田町の事例-

コラム 人より牛が多い町からロケットが飛ぶ[宮町良広]

あとがき 235
索 引 236

[執筆者紹介](名前順,*は編者)
*井口 梓  愛媛大学社会共創学部准教授
池口明子  横浜国立大学教育学部准教授
岩瀬峰代  元島根大学大学教育センター准教授/ 株式会社サイバコ代表取締役
岡橋秀典  広島大学名誉教授,前奈良大学教授
玄田有史  東京大学社会科学研究所教授
*小長谷有紀 国立民族学博物館名誉教授
*小林 知  京都大学東南アジア地域研究研究所教授
小山良太  福島大学食農学類教授
近藤章夫  法政大学経済学部教授
佐無田光  金沢大学融合研究域融合科学系教授
菅 豊   東京大学東洋文化研究所教授
*田原裕子  國學院大學経済学部教授
中澤高志  明治大学経営学部教授
中村寛樹  久留米大学基盤教育研究センター教授
増田 聡  東北大学大学院経済学研究科教授
松原 宏  福井県立大学地域経済研究所所長,特命教授
水内俊雄  大阪公立大学大学院文学研究科客員教授
*宮町良広  大分大学経済学部教授
矢野桂司  立命館大学文学部教授
山川充夫  福島大学名誉教授
山下祐介  東京都立大学人文社会学部教授
吉田道代  和歌山大学観光学部教授