特異点2069~老人狩り編~

うだりお 著

460円(税込)

うだりお

この世界は狂っている 狂っているが 誰にもそれを直せない

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2038年4月、「ヒトの遺伝子操作に関する法律」、通称「フジサキ法」が施行される。これにより、遺伝的疾病の回避を目的とした遺伝子操作が可能となる。

2042年1月、「先天的遺伝子異常における医療的遺伝子操作に関する法律」が施行される。これにより、これまで難病とされてきた先天性疾患の治療が可能となる。

翌43年、「フジサキ法」が改正され、遺伝的疾病の回避目的以外でも、生殖細胞系列の遺伝子操作が可能となる――企業が子供を作る時代の到来である。

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時は2069年。国の人口が8000万人を切り、そのうちの半分以上が70歳以上の高齢者という時代。フジサキ法の成立により、企業が作り出した人間である『企業産』と、自然交配によって生まれた『自然交配型』の2種類の人間が入り混じる社会で、企業産人間であるシバは、仮想現実空間と現実社会を行き来するだけの日々を過ごしていた。漠然とした不満を抱えながら生きるシバは、ある時、友人の紹介で夜のアルバイトをすることに。その内容とは、自然交配型である高齢者を『狩る』こと。同じ企業産であるタケと知り合い、老人を狩ることになったシバは、初めこそ、その蛮行に反対していたが、徐々に老人狩りにのめり込んでいく。そして年が明け、いつものように老人狩りを楽しんでいたシバ達は、ある事件をきっかけに、今度は反対に狩られる立場へと追い詰められていく。