盈月をとる 上巻

うだりお 著

460円(税込)

うだりお

爽やかな梅雨晴れの朝、大学一年生の小泉陸は成田空港からベトナムのハノイ、ノイバイ国際空港へと飛び立った。旅の目的は、ベトナムに住む旧友に会いに行くこと。陸は旅の同行者である釣り雑誌の編集記者、増本と話をするうちに、釣りばかりしていた小学6年生の自分を思い出していく。家の近くにある霊鎮湖に毎日のように通い詰めていたこと、その湖に住むと言われる金色に輝く幻の大魚『盈月』を追いかけていたこと、そしてその盈月を追う中で偶然出会ったベトナム人技能実習生『クオン』との楽しくも苦く切ない思い出ーー。
過去に置き去りにしてきた自分と向き合う陸。死にものぐるいで未来にすがりつくクオン。運命の糸に引き寄せられるように再会した二人がベトナムの地で見たものとは……。