ジンセイイチド

うだりお

460円(税込)

うだりお

川幅二百メートルの大河『龍神川』が町を二分する新田町と北保示町。龍神川は過去に大氾濫を起こし、新田町を浸水させていた。その新田町で生まれ育った幼馴染の四人――ベンチャー企業の課長、義明、花屋の息子、岩男、地元の工場で働く翔平、そして画家のケン――は、それぞれに災害の爪痕を心に抱えながら何となく日々を過ごしていた。ところがケンは、あることをきっかけに人が生きるということに対する独自の哲学を深めていく。そして前を向いて進んでいくことを決意した四人は、真夏の夜にそれぞれの『過去』を燃やすことに……。ケンの人生を突き動かしたものは何だったのか――。一日ごとに過去に戻っていく構成の本作は、読み進めるほどに謎が解き明かされる。うだりおの長編小説第三弾は、社会で生きていくことに疲れたものとその中でもがくもの、両者を軸に人生の面白さを描き出す現代小説。