薔薇とチョコレート

うだりお

150円(税込)

うだりお

あと三日で年が明けるという年末のある日、禁酒中の秋生の目に、巨大な焼酎の広告が映り込む。それは焼酎のボトルを囲むように団欒する絵に描いたような幸せな家族写真で、それを目にした途端に、秋生は妻のことが頭から離れなくなる。結婚して、一緒に生活して、子供ができて、子供を育て……。変わっていく妻。変わっていく自分。そして変わっていく夫婦の関係。何がいけなかったのか。何が足りなかったのか。妻との思い出に浸るように買った薔薇とチョコレート。それらをぶら提げて帰宅した秋生を待っていたものは――。何をやっても報われないと思っている人に読んでもらいたい。ほんのりと甘くて苦い夫婦の物語。うだりおの短編小説第三弾は、現代社会を生きる夫婦のあり方を問いかける!