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◆「日本語教育における学習者研究―認知的側面に注目して―」
日本語学習者はどういった過程を経て言葉を習得していくのか。そして、どのような活動が習得に効果を発揮するのだろうか。これらの問いに答えるべく、第二言語習得の研究者たちはこれまでにさまざまな実験的あるいは実践的な研究に基づいた知見を教育現場に提供してきた。中には、以前は当たり前のように行っていた方法が、実はほとんど意味のないものであったという発見もあり、この二~
三〇年の間に教室活動はもとより、教科書の構成も少しずつ変化してきたと言えるだろう。とはいえ、どのようにすれば学習者が言葉の意味を理解し覚えるのか、言葉の法則に気づくようになるのか、文章理解が促されるのか、逆に学習・習得が妨げられるのか等、まだまだ解明の途上にある。
本特集では、学習者の認知的側面に焦点を当て、認知心理学という分野における研究が、これまでに明らかにしてきたことの一端を紹介しつつ、これからの日本語教育・学習に対してどう貢献するかを展望する。認知過程を明らかにするための研究手法についても紹介し、今後のさらなる研究を推し進める上で役立つ情報も提供する。
◯日本語教育における認知心理学の役割(費暁東)
◯漢字圏学習者による日本語漢字語の認知処理
―視覚呈示条件と聴覚呈示条件における比較検討―(大和祐子)
◯非漢字圏の日本語学習者は日本語漢字単語をどう処理するか
―認知的特徴と処理経路の理論的整理―(柳本大地)
◯日本語学習者は日本語の文の意味をどのようにして理解しているのか(佐藤智照)
◯日本語学習者の読解・聴解の過程
―テキスト理解の過程と日本語学習者の困難点―(福田倫子)
◯中国語と日本語の通訳における認知過程(宋啓超)
◯日本語学習者の読解・聴解の過程認知過程を明らかにするための研究方法
(費暁東・宋啓超・柳本大地)
◆「漢字の常識を疑う」
漢字についての話題は、一般に関心が抱かれがちである。その真実を実証と論証によって追究する漢字学に関しては、中国の学界においてかなりその内容が変わりつつあり、日本の学界においても数多くの進展が見られる。
例えば、国語の教科書で教わる「六書」という概念に関しては、従来の多くの会意文字説を否定する論説が勢いを増しており、合体字のほとんどが形声文字として見なされるようにまでなってきた。個々の字源に対する見解も、研究者たちによってかなりの変更がなされている。始皇帝の文字統一についての功績などについても、出土物から新たな検証がなされている。楷書の字体の変遷の探究も、石碑や法帖だけでなく通俗的な文書やノートの類に記された肉筆までが対象に据えられるようになり、民間の俗字の掘り起こしによる字体の歴史の書き換えが進んでいる。
漢字音の研究も展開を呈しており、例えば漢代頃まではまだ声調がなかったことがほぼ定説となり、個々の語が二重子音など複雑な構造を有する音節をなしていたことが推定されている。また明清の各地での漢字音の実態も解明されてきた。
日本における漢字に対する一般の認識も、旧来の「常識」から少しでも正確なものへと更新していかなければならない。ここに漢字研究の最新の状況を紹介したい。
◯漢字はどのようにして作られたか
―字源探求の試み―(大西克也)
◯形声文字に関わるもう一つの類型の提唱
―「截取分化」に基づく形声文字について―(戸内俊介)
◯字音研究の現在
―表音文字による音写を利用した研究から―(吉川雅之)
【連載】
[ことばのことばかり]熟すのは漢字か? はんざわかんいち
[方言ほぐし糸]「つれづれ」と「徒然」 小林隆
[二次元世界のはなしかた]キャラクターと共感(その四)―『国宝』に見る「成長」の物語― 金水敏
[日本語で生きる子どもたち]「オンラインで「つながり」と「対話」を育む」 川田麻記
[にほんごの航海灯]二〇二六年度日本語学会秋季大会発表賞 仲谷絹・平子達也
[虎の門通信]国語ワーキング(第六回〜第一〇回)における審議状況について 上月さやこ
[新刊・寸感]『ことばをどう捉えるか―言語の自明性を問い直す』ほか 相澤正夫
情報源/次号予告