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西洋の空間に対して日本古来の空間は闇や暗さのなかに本質があり、そうした空間のなかでこそ物やふるまいの美しさが引き立てられると記した谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』。谷崎がこの文章を発表した約90年前(初出1933年)に比べると、現代の住宅空間は外国の文化が浸透し暮らしも技術も大きく変わり、明るさ・暗さに対する認識や、光の取り入れ方も大きく変化してきていると言えるだろう。
とはいえ、均質な明るい空間よりも、光が移ろっていくさまや、木漏れ日、陰影や暗がりに美しさや心地よさを感じる人は少なくないだろう。とくに、長い時間を過ごす住宅においては、生活に変化を与えてくれるものとして重要な要素となる。
本特集では、日本建築における光と翳の特質とはどのようなものであるかを改めて考える機会とし、手嶋保氏による巻頭文、中川武氏の論考、5名の設計者によるそれぞれの「光と翳」による空間の設えを紹介する。