パラドックスで学ぶ統計学 ―相反する分析結果に向き合う―

岩崎 学 著, 川崎 玉恵 著

3,850円(税込)

共立出版

統計学には、シンプソンのパラドックスをはじめ、いくつかのパラドックスが存在する。パラドックスとは、相反する分析結果をもたらす一見不思議な現象であるが、遭遇した人は「なぜそうなるのか」と疑問を抱き、その背景や理由、さらに分析結果をどのように理解・解釈すべきかを知りたくなるであろう。

本書は、シンプソンのパラドックスを含む10種類のパラドックスを扱う全10章で構成されている。各章では、まずパラドックスとなる問題を紹介し、その歴史的経緯を述べたうえで、さまざまな応用例を取り上げ、最終的にパラドックスを数理的に解明する。

本書は、通常の統計学の教科書とは大きく異なる構成をとっている。最初にパラドックスを提示することで読者の知的好奇心を喚起し、それをきっかけとして統計学の数理的側面の理解へと導く。数理的な展開も多いため、初等的な確率・統計を一通り学んだ諸氏を主な読者として想定している。授業などで得た「通り一遍の知識」に対し、その意味を改めて吟味することで、統計手法に関するより深い理解へと至ることを意図している。

特に、重回帰分析を扱う章がいくつか含まれている。重回帰分析は、データとソフトウェアがあれば誰でも容易に計算結果を得られるが、その解釈には相応の知識が求められることが、本書を通じて理解されるであろう。

【扱うパラドックスとテーマ】
- モンティ・ホール問題 (確率と条件付き確率)
- シンプソンのパラドックス (分割表の併合可能性)
- ロードのパラドックス (処置前後差と共分散分析)
- バークソンのパラドックス (症例対照研究と合流バイアス)
- 出生体重パラドックス (媒介変数と非線形性)
- 媒介分析 (直接効果と間接効果)
- 成人病の胎児期起源説 (単回帰と重回帰)
- 回帰における抑制 (回帰係数と決定係数)
- 平均への回帰 (処置前後データの解析)
- リンドレーのパラドックス (頻度論とベイズ)