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長年取り組んできたジオノ作品への感謝の気持をあらわしながら、ジオノ作品の豊かで独創的な世界へ読者の方々をお誘いしようと試みた「ジオノに挨拶するために」(彩流社、2025.02)に続くジャン・ジオノ作品論Ⅱ。
優しく慰撫してくれることもあり、また時には厳しく歯向かってくることもある大自然のなかで行動する人間たちにとって、友情や恋愛や芸術(音楽や文学)は、人間として生きていくための揺るぎない根拠となり、生きていくに際して潤いをもたらしてくれるものである。本書でとりあげる、ジオノ独特のニュアンスを有している五つの物語において、大自然のなかで活動していく登場人物たちは、それぞれに独自の個性的な解決を提示させていくことになるであろう。また、それら五作品を丹念に見てゆくことで、彼が生涯を過ごしたオート= プロヴァンスの大地と物語の独創性が密接に関わっていることを示していくことになるであろう。
目次
友情の記念碑(『ボミューニュの男』)
精彩溢れる自然と膨張する妄想(『丘』)
羊と羊飼いの世界(『蛇座』)
空想のメルヴィルが躍動する(『メルヴィルに挨拶するために』)
光と闇が交錯する物語(『世界の歌』)