REENTRY ~イーロン・マスクとスペースXの野望:2009-2023年

Eric Berger 著, 岩崎 晋也 訳

3,520円(税込)

株式会社化学同人

イノベーションとは『創造的な破壊』だ!
宇宙飛行に革命を起こし続けるイーロン・マスクは,
予定調和に凝り固まった日本社会へのアンチ・テーゼなのか.
――野口聡一(宇宙飛行士)

再利用ロケットの実現,国際宇宙ステーションへの人員輸送など,数々の偉業を成し遂げ,
「第二の宇宙時代」を象徴する存在となったスペースX.
それは,創業者イーロン・マスクのヴィジョンだけでなく,
身を粉にして働いた数千の人々の献身があってこそのものだった.
ロードムービーさながらのロケット陸上輸送作戦,
海洋冒険小説もかくやというドラゴン宇宙船の回収プロジェクト,
陰謀論の誘惑に抗いながら謎解きに挑んだ発射台での爆発事故,
そしてSFの世界を現実にしたかのようなロケットの帰還と見事な着陸.
しかしスペースXの物語はこれで終わりではない.
火星移住という野望を達成するために,死角はないだろうか.
『LIFTOFF』につづき著者は,スペースXの内部に分け入り,
輝かしい偉業の舞台裏に迫るとともに,その行く末を占う.

解説:秋山文野(宇宙ジャーナリスト)

帯には宇宙飛行士・野口聡一氏の推薦文

■本書に寄せられた賛辞
スペースXの成功を裏で支えたヒーローたちの物語.
――アンディ・ラプサ(ストーク・スペース共同設立者兼CEO)

イーロン・マスクという,際立って大胆で優れたビジョナリーに率いられた企業による,
おそらく世界で最も注目に値する野心的な物語を伝えている.
――ジャレッド・アイザックマン(民間人のみによるはじめての宇宙飛行で船長を務めた人物)

ロケットの再使用や新たな宇宙時代の幕開けをもたらした原動力や決意がはじめて語られる.
――ロリ・ガーバー(元 NASA副長官)

わたしはスペースXの興隆を20年近くにわたって追ってきたし,
そのロケットと宇宙船で宇宙へ飛んだこともある.
だが『REENTRY』を読んではじめて,スペースXがどれほどの苦難を乗り越えて
新たな宇宙時代を切り拓いたかがわかった.
――マイケル・ロペス=アレグリア(宇宙飛行士)

■本文より
長きにわたり,スペースXは無視され,そんなことはできるはずがないと言われてきた.
いま,彼らはそれを達成し,ライバルたちは金網越しに覗きこんで笑ったりしていない.
ライバルだった者たちはあっけにとられてはるか上方を見上げている.
「わたしたちは遠くまで来た.それはたしかね」.
わたしがかつて軽視されていたことを質問すると,グウィン・ショットウェルはこう答えた.
「『打ち上げに成功するはずがない』って言われていたけれど,わたしたちはファルコン1を飛ばした.
『本物のロケットを打ち上げられるはずがない』と言われれば,ファルコン9を飛ばした.
すると,『ドラゴンを軌道へ運べるはずがない.ドラゴンは宇宙ステーションには決して達しない.
ああ,ロケットの回収なんてできるはずがない.ロケットを再使用できるはずがない』って.
まだ何か言いたいことある? ってところね」