技術人類学からの警告

山下渉登 著

3,500円(税込)

株式会社彩流社

いま、人間がおかれている政治的・経済的情況、あるいは地球・環境的な問題に対して、われわれは何ひとつ有効な手立てを打つことができていない。そもそも何が原因なのか。その原因の究明からもっとも有効な手立てを探り、筋道を立てて論じて行こうとしたのが本書である。最終的な答えを導きだすために、まず、動物である「人間」はどのような存在であり、これまでどのような歴史を歩んできたのかを、新たな視点・捉え方から考究し、把握することから始めた。本書の基礎となるのは「世界はものとものとの関係=結ばれ=協働でできている」という考えである。この考えを応用して、「技術」とは何かという定義を深め、あらゆる歴史を「もの」と「ことがら」の関係が織りなす壮大なプロセスとして捉えてゆく。言語発生のプロセス、供犠および儀礼発生・発明のプロセス、また、国家・王権誕生の、そして近代科学誕生のプロセスを詳細に追い、更には、現代の科学技術複合システムが、なぜ様々な問題を生じさせるまでに至ったかまでを突き詰め、混乱を極める人類の未来を如何に生き延びてゆくのかを問い直そうとした。

目次
第一部  技術の正体
1章   地球生命圏に生きる
2章   人間はどこまで動物か
3章   技術は人間と非人間のハイブリッドである
4章   人間活動の重層性緒外
第二部  技術の進展は人間に何をもたらしたのか
1章   人間は技術と社会的関係とが織りなす複合体に住まう
2章   言語が生まれでる環境
3章   火の制度と社会規範
4章   観念的世界の誕生
5章   世界分類=秩序化と神の発明
6章   食料生産と国家への道
7章   巨大なひき臼の中で
8章   財貨の往き来が世界を変える
9章   3つの「新世界」を発見=制作する
10章  資本主義・帝国主義・全体主義
11章  あまりに歪められた世界(終章)攪乱状態の未来をどう生きるか