ネイションの名の下に

小島望 著

3,000円(税込)

株式会社彩流社

「ネイション(国民)」とは誰か?
いつから存在するのか?
ナショナリズムの起源という難題に挑む。

 三王国戦争(1638~1651年)と国王の処刑という、統治をめぐる危機の時代に、誰が〈ネイション〉と名指され、〈ネイション〉の名の下に呼びかけられていたのか?イングランド・スコットランドの同時代の史料から、身分制議会への参加権を持たない民衆層をも動員しようとする新たな政治様式の広がりを明らかにし、そこで語られた〈ネイション〉概念の両義性を分析。論争が続くナショナリズム起源論に対して、「近代の産物か否か」という二項対立を超えて、新たな光を当てる試み。

目次
第一章  ナショナリズムの「始まり」?
第二章  ネイションという言葉
第三章  分析視角・先行研究・史的背景
第四章  国民契約の形成と主教戦争
第五章  軍事介入期のネイション概念
第六章  サミュエル・ラザフォードにおけるネイション概念
第七章  国王処刑前後のネイション概念
第八章  第一次内戦期ニューズブックにおけるネイション概念
第九章  急進派系ニューズブックにおけるネイション概念
第一〇章 国王処刑期王党派ニューズブックのネイション概念
第一一章 オリヴァー・クロムウェルにおけるネイションとコモンウェルス
終章   近代以前のネイション概念の近代性?