経営に活かす微分積分 ―基礎からPythonを用いた応用まで―

岩城 秀樹 著, 岩澤 佳太 著

2,970円(税込)

共立出版

機械学習やAI(人工知能)の進展によって、経営戦略論、組織論、人事・労務管理論、マーケティング、会計、ファイナンスといった経営学における諸専門分野においても、数理的アプローチやデータ分析の素養を身につけることが必要不可欠なものとなりつつある。本書は、それに先立ち、上記分野への応用を目的とした数学的基礎知識のうち、「微分・積分」を扱うテキストである。
本書は、上記分野への応用を目的とするため、本書で扱う微分・積分の知識が経営学の諸領域にどのように繋がり応用可能なのかを随所にケース問題として例示することによって、学習者の動機付を促している。また、実際のAIにおいて最も多く使われているプログラミング言語であるPythonの習熟も視野に入れ、Python記号演算ライブラリSymPyスクリプトを用いた演習問題を配置している。これは、文系に分類されている経営学では、理系大学教養レベルでの、微分・積分の計算を中心とした演習方法は適当ではなく、計算などの演算処理はPythonで行い、計算力よりも「どのような計算を行わせれば、どのような結果が得られるのか」という論理的思考力の涵養が重要と考えたからである。さらに、本書では、文系学習者を想定し、平易で具体的な内容から次第に抽象的な内容になるようになっている。加えて、他の微積分の教科書と異なり、経営系での応用のための基礎をなすことを意図することから、初めに、キャッシュフロー評価の基礎となる数列を第1章に配置し、その後、経営問題における因果関係をモデル化して解析するために必須となる関数を学習したうえで、微分・積分の学習に入っている。最終章の積分では、経営系に必須と言える確率・統計への応用を意図して正規分布の確率密度関数と積率についても説明を加えている。付録にPython基本操作方法をつけ、Pythonの事前知識がなくても本文のスクリプトが理解できるよう配慮している。