公式と例題で学ぶ大学数学の基礎

久保川 達也 著

2,750円(税込)

共立出版

「公式」と「例題」を通して、微分積分と線形代数の基本的な考え方+αが学べる入門書

本書は、数学的な厳密性は避けながら、必要な部分をシンプルに理解し、使えるようになることを目標に書かれている。前半の微分積分では、1変数関数の連続性、微分、平均値の定理、テイラー展開、極値問題という微分の一連の流れがシンプルに解説され、その流れを踏まえて2変数以上の関数への拡張を行う。その後、不定積分、定積分、重積分と進み、最後に独立した単元として三角関数の微積分が扱われる。後半の線形代数では、2次正方行列について、逆行列、行列式、行列の固有値と対角化が一通り解説され、その流れを踏まえてn次正方行列への拡張を行う。その後、行列式とその性質、固有値と固有ベクトルと進み、最後に抽象的なベクトル空間が扱われる。

各章末には130題を超える豊富な演習問題があり、統計学の既刊本と同様、著者のサポートページですべての解答例が公開されている。理解度を確かめる助けとなるだろう。理工系の学部1~2年生、経済学部などで微積分(ミクロ経済や統計)・線形代数(計量経済)が必要な学部3年生~院生、統計検定®を目指す方などの数学の基礎固めによい。

例えば、一から本格的に統計学を学びたい方は、本書の第1~4章および第6~9章で数学の基礎を、『公式と例題で学ぶ統計学入門』で統計学の基礎を十分に固めてから、『データ解析のための数理統計入門』そして『現代数理統計学の基礎』へとステップアップしていく学習ルートが考えられる。

本書は、「数理統計学の本が読めるための数学を身につけること」をゴールとしつつ、公式の証明や抽象的なベクトル空間にも踏み込んだ「幅広い学問に立ち向かうための基礎としての数学を身につけること」にも応える内容となっている。

※ 「統計検定」は、一般財団法人 統計質保証推進協会の登録商標です。