国会改革の「失われた30年」

大山 礼子 著

3,520円(税込)

信山社出版株式会社

◆国民代表機関としての国会の役割を問い、いまこそ国会審議の改革を求めて、「そして今」、まさに指針とすべき、第一人者による待望の書

【目 次】

はじめに―失われた30年を越えて

◆第Ⅰ部 審議の充実◆

第1章 国会改革と議院内閣制―議員立法活用論を手がかりとして

 はじめに
 1 国会改革の目的
  (1) 責任遂行能力―審議の効率と充実
  (2) 応答性の向上―民主化
  (3) 説明義務―国会情報の公開
 2 議院内閣制下の国会改革
  (1) 議員活動の日米比較
  (2) 行為主体別に見た議員活動の活性化
 3 議員立法の活性化
  (1) 議員立法の現状と国際比較
  (2) 議員立法の手続
  (3) 提案主体別に見た議員立法の機能とその活性化
 むすびにかえて―党議拘束の緩和

第2章 忘れられた改革―国会改革の現状と課題

 1 基本認識
 2 国会審議の制度的枠組み
  (1) 強力な常任委員会制度
  (2) 政府による議事のコントロール
  (3) 政府と与党会派との距離
 3 運用による審議の変質
  (1) 事前審査制の確立
  (2) 審議合理化の帰結
 4 改革の試みと挫折
  (1) 政治改革の忘れ物
  (2) 過剰な「ウェストミンスター化」
 5 求められる改革

第3章 審議回避の手段となった衆議院解散権―2017年解散総選挙と議会制民主主義

 1 異例ずくめの「国難突破」解散
 2 大義なき解散の常態化
  (1) 解散の大義
  (2) 「伝家の宝刀」の実態
  (3) 解散リスクの減少
  (4) 解散権の制約は可能か?
 3 国会審議を回避する内閣
  (1) 臨時国会の召集義務
  (2) 恣意的な審議日数短縮を可能にする会期制度
  (3) 改革に反対してきた野党
 4 リーダーシップ強化の果て

◇そして今 法案審議の充実―なぜ事前審査を廃止できないのか?

◆第Ⅱ部 討論の再興◆

第1章 討論の場としての議会―口頭質問の盛衰をめぐって

 はじめに
 1 帝国議会における口頭質問の発展
  (1) 口頭質問のはじまり
  (2) 質問日の設定
  (3) 議会改革案にみる口頭質問
 2 国会の質問制度
  (1) 国会法制定
  (2) 口頭質問の衰退
 3 議院内閣制下の議会と口頭質問
 4 討論再生の展望

第2章 党首討論とイギリス型議院内閣制

 はじめに
 1 イギリスのクエスチョンタイムとの相違
 2 口頭質問の欠落が意味するもの
 3 イギリス型審議の条件
 4 ウェストミンスターモデルへの疑問

第3章 国会とアカウンタビリティ―国民代表機関の二重の責務

 1 議院内閣制におけるアカウンタビリティ
 2 国会と内閣の関係―政府統制機能
  (1) 質  問
  (2) 国政調査
  (3) 委任立法の統制
 3 国民と国会の関係―国民代表機能
 4 国会の病理

◇そして今 国会論戦の役割―政府に説明責任を果たさせるために

◆第Ⅲ部 二院制◆

第1章 参議院改革と政党政治

 1 「カーボンコピー」批判の現在
 2 「反省の院」の変質
 3 日本的状況と参議院
 4 改革の条件

第2章 二院制と選挙制度

 1 参議院選挙制度改革の動き
 2 二院制を生かす選挙制度
 3 独自性と権限の相克

第3章 参議院改革から立法府改革へ

 1 ねじれと政策決定
 2 両院間協議の国際比較
 3 両院間協議の前提としての実質的審議
4 参議院改革から立法府改革へ

◇そして今 参議院の存在意義―独自性発揮への道

◆第Ⅳ部 政治参加と情報公開◆

第1章 国会情報

 1 はじめに
 2 会議録
 3 立法情報
 4 国会関連法規および活動報告
 5 おわりに

第2章 「議員の偏り」から政治不信は生まれる―改革のラストチャンス

 1 改革できない政治
 2 なぜ政治にカネがかかるのか?
 3 国民から乖離した議員
 4 選挙制度改革で政治を刷新する
 5 政治への新規参入を後押しする
 6 政党交付金を民主政治の発展に使う
 7 政治への信頼は失われ続けてきた

◇そして今 代表性の回復―改革の担い手を国会に送るには

◆第Ⅴ部 改革の進め方◆

終章 国会改革の作法
 1 道筋の見えない改革論議
 2 国会改革の意味
 3 英国議会下院における改革の作法
  (1) 会期不継続原則の緩和
  (2) 省庁別特別委員会による行政監視の強化
 4 日本の課題

◇そして今 改革への手順―どこから改革に着手するか?