木本植物の被食防衛 ―変動環境下でゆらぐ植食者との関係―

小池 孝良 編, 塩尻 かおり 編, 中村 誠宏 編, 鎌田 直人 編

3,960円(税込)

共立出版

樹林地保全のために、生物多様性保全に関する基礎情報を提供する。

近年の温暖化を含む環境激変下での森林植物と昆虫類の相互作用に関して、特に植物の防衛に焦点をあて、昆虫類や昆虫の食害活動を植物が巧妙に防ごうとする姿(被食防衛)を解説する。本書を通して、樹林地保全を目指した生物多様性保全に関する基礎情報を提供する。具体的には、変動環境下での植物-昆虫間の関係性、ナラ枯れやマツ材線虫病への話題、植物の環境要因(高CO2、窒素沈着、対流圏オゾンなど)への応答、そして対策としての環境教育と森造りについて、樹木生理解剖学から群集生態学レベルの視点までのトピック(コラムも含め)を集結させた。
前線で調査を行っている約50名の研究者による解説書であるため、実験の詳細や、現象としてそれぞれがどのようなものなのかなど具体例が記述されていることが特徴である。虫害をはじめ緑地の保全・保護に資する資料も提供しており、本書が植物生態学・保全生態学、森林保護学を学ぶ学生から現場の実務者まで、今後の変動環境への戦略に向けた必携書となることを期待する。