世界を翔ける翼

スコット・ワイデンソール 著, 樋口 広芳 監訳, 岩崎 晋也 訳

4,180円(税込)

株式会社化学同人

鳥が生みだす奇跡とテクノロジーが生みだす奇跡の邂逅……読みはじめたら止まらない。
――ジェーン・アレクサンダー(女優)

わたしは1章ごとに驚きで口を開き、目を丸くした。渡り鳥の科学はいま、黄金時代を迎えている。
そしてありがたいことに、すばらしいガイドがこうして案内してくれる。
――ノア・ストリッカー(『鳥の不思議な生活』著者)

飛び抜けた傑作だ……説得力があり、しばしば感動さえもたらす独自の語り口で、
国際的な協力と地球規模での環境保全を呼びかけている。
――イザベラ・トゥリー(『英国貴族、領地を野生に戻す』著者)

生涯の専門家にも、庭を訪れる鳥をたまに眺めるだけという人にも……
人類がこの惑星を分かちあい、ともに生きている、翼を持った驚くべき生物への極上のガイドだ。
――ダイアン・アッカーマン(『ユダヤ人を救った動物園』著者)

*   *   *

自然の壮大なドラマに迫る科学者たちの挑戦
鳥の渡りという、計り知れないほど長く複雑な離れ業への理解は急速に進んでいる。
それでも、この壮大な旅を解き明かす科学はまだ揺籃期にある。
本書では、この最先端の研究に自ら携わる鳥類学者、作家であるスコット・ワイデンソールが
鳥の驚異的な飛行のあとを追い、世界各地を辿る。
ベーリング海では嵐に見舞われ、地中海では銃を装備した罠猟師と遭遇する。
インド北東部の辺境では、渡り鳥を狩猟していた首狩り族の末裔たちがそれを断念し、
鳥類保護の歴史において前例のない成功を成し遂げているのを目撃する。
気候変動による脅威が差し迫る現代において、こうした自然保護の奇跡は
人類が存続するうえでかけがえのない道案内となるだろう。

●本文より
その答えはわからない。それが渡り鳥を研究する喜びであり、歯がゆさだ。
多くのことが、わたしたちの手をすり抜けていく。
目を見張るような技術的進歩やSFのような遠隔調査、ビッグデータによる情報解析やレーダー、
衛星用送信機などをもってしても、世界を股にかけた鳥の旅についてはわかっていないことのほうが多い。
世界は広く、人間はあらゆる場所に存在するが、あらゆることを知っているわけではない。