キューバ二都物語

越川芳明 著

2,300円(税込)

株式会社彩流社

宗教的秘儀への参入……白人と黒人の二人の女性は日本人学者の「彼」の水先案内人をつとめたのだった。

深い森のなかにわけ入るかのようにキューバの「深層文化」を体験。著者渾身の瞠目の書き下ろし小説ついに刊行!

2009年にサンテリアの通過儀礼を受け、2010年、シエンフエゴス、バラデロへ旅。日本人学者は、ハバナの宿でアフロ宗教サンテリアの司祭ババラウォに出会い、通過儀礼「オルーラの手」を受ける。黒人宗教に関心を持つ「彼」に、サンテリアの儀式に連れて行ったり、いろいろと教えてくれる親切な白人女性エレーナ。彼は白人女性の家と黒人ババラウォの家を行きつ戻りつしながら、己の身の処し方を思案するのだった。2008年にエル・コブレで初のベンベ(ブルへリアの儀式)を体験。2010年、山でのベンベ。15歳のメルセデスの妊娠と出産。2013年、祈祷師セリアとエディタ、フリアの死。2014年、山でのベンベから4年後、日本人学者は、キューバ東部のサンティアゴを訪れ、エル・コブレでアフリカ由来の太鼓儀礼を初体験。再訪したエル・コブレで黒人女性テレサの差配によって、祈祷師から自己の守護霊のためにベンベをほどこしてもらう……めくるめく秘教の世界への誘い。

【目次】
第1章 サンティアゴの祈禱師
第2章 死者のいる風景