リー群のユニタリ表現論(共立講座 数学の輝き 14)

平井 武 著, 新井 仁之 編, 小林 俊行 編, 斎藤 毅 編, 吉田 朋広 編

6,600円(税込)

共立出版

本書は、群の表現論について最短距離で核心部分に触れることを目的とした書籍である。

全体は4部構成となっている。まず第I部では、初心者に向けてリー群の表現論に関する最低限の準備を行う。第II部では、3次元回転群やその普遍被覆群SU(2)を例に、n次回転群SO(n) (n≥3)の表現(特にその指標理論)と付随する無限次元擬(g,K)-加群について解説する。第III部では、n次Lorentz群SO(n−1,1)の表現とそれに付随する無限次元(g,K)-加群を中心に解説する。第IV部では、n次Lorentz群の既約表現と既約指標の決定に関する解説を行う。その後、拡大Gelfand-Tsetlin公式を応用してLorentz群SO0(n−1,1)およびその普遍被覆群Spin(n−1,1)のPlancherel型公式を学び、最後に負の定曲率空間上の測地流のスペクトル型がσ-Lebesguesであることを証明する。
本書の特筆すべき点として、複素回転群SO(n,C)のコンパクト実形であるn次回転群SO(n)の表現論から、別の実形n次Lorentz群SO0(n−1,1)の表現論へと、Gelfand-Tsetlin公式とその無限次元の拡張を通して”空中移行”できることを示したことである。本書の解説を通じて、それらが恰も背中合わせのように存在していることを解説する。