統計的逐次推定論(統計学One Point 21)

赤平 昌文 著, 小池 健一 著

2,530円(税込)

共立出版

本書は、データサイエンスの基盤として重要な統計学の理論的基礎である逐次推定に焦点をあてて書かれたものであり、数理統計学について入門程度の知識をもつ学習者が、逐次推定論をより専門的に学ぶ際に有用である。例を多用して自学できるようにまとめられており、和書には類書がほとんどない。
通常の統計学では、あらかじめ標本の大きさを固定して考えるが、その手法には限界があり、それを乗り越えるためには逐次的手法を考える必要がある。たとえば、標本の大きさをあらかじめ固定せずに抽出された標本に基づく推定量と、さらに追加された標本を含めた推定量について、それらの(標本抽出費用を含む)リスクを比較して、追加した方のリスクが小さければ標本抽出を継続し、そうでなければ標本抽出を停止するという規則を導入する。
本書では、非逐次推定を決定論的観点から論じたうえで、停止則と推定量からなる逐次推定方式のベイズ性、不変性等とともに、情報不等式について論じている。また、正規分布における平均や平均の差の逐次推定、多変量正規分布の平均ベクトルの逐次推定、ガンマ分布、一様分布の逐次推定についても考え、2段階(標本抽出)法による推定についても論じている。さらに、逐次解析において重要な逐次確率比検定についても解説している。
本書で紹介される逐次推測の考え方は合理的であり、臨床試験における実験計画等でも有用であろう。