表面新物質創製(現代表面科学シリーズ 4)

日本表面科学会 編集, 白石 賢二 担当編集幹事

3,630円(税込)

共立出版

 本巻では表面制御や表面との相互作用を利用した「表面を舞台としたナノスケールの新物質の創製」に焦点を当て、ナノスケールの表面制御技術を眺めてみた。
 第1章では、表面を舞台に行われる結晶成長において、結晶表面に形成させる欠陥を制御することで、Geアイランド、欠陥の非常に少ないGaN基板、無歪のGe等、多様な新物質が創成される実例を示す。第2章では、走査プローブ顕微鏡によって表面上の原子を人工的に1個ずつ移動させること、伝導性高分子ワイヤー1本ずつ操作することで、自然界に存在しないナノスケールの表面構造やナノデバイスの創製を実現した例を示す。第3章では、VLSI法によるボトムアップ的に形成するナノワイヤー、超分子化学合成技術を駆使したナノワイヤー・ナノドット形成、バイオ機能を巧みに利用したナノドット形成等の例を挙げながら、自己組織化技術を用いた表面ナノ物質創製について議論する。第4章「表面を利用した炭素系ナノ材料の創製」では、表面との相互作用を利用したグラフェンやカーボンナノチューブ創製の実際について、いくつかの実例を挙げながら議論する。
 各節はそれぞれの分野の第一線で研究に携わっている専門家によって執筆されており、その分野の概要と現在における到達点が理解できるように解説されている。一方、全体を通読することによって、表面が「ナノスケールのものづくり」の最高の舞台となっていることも実感できるはずである。