アーキア生物学

日本Archaea研究会 監修, 石野 良純 編著, 跡見 晴幸 編著

4,290円(税込)

共立出版

 1977年にアーキアが進化的に細菌とも真核生物とも異なる生物であることが提唱されてから40年が過ぎる。今日、生物をアーキア、バクテリア、ユーカリアの三つに分類する3ドメイン説は広く認められ、高校生物の教科書にも記載されるようになった。本書は日本語で書かれたアーキアの教科書としては、1998年に刊行された『古細菌の生物学』(東京大学出版会)以来のもので、この間に我々のアーキアに対する理解は大幅に進んだ。
本書は、アーキアという生物について、その生態、細胞構造、含まれる生体高分子、遺伝情報維持と伝達、物質変換などの細胞内代謝、そしてバイオテクノロジーとの関連について、おもに日本Archaea研究会で活動している、それぞれの内容を専門とする現役のアーキア研究者が執筆しているので、日進月歩であるアーキア研究の最先端の内容まで含んだものとなっている。アーキアを専門としない読者でも、アーキアについての最新情報までを包括的に理解できる、わが国唯一の教科書といえる。
 アーキアを理解すること、そしてアーキアをバクテリア、ユーカリアと比較することが、生命の進化や細胞の成り立ちの原理を理解することにつながっていく。また多くのアーキアが地球上の極限環境下で生息するので、極限環境下での生命活動のしくみの解明もたいへん興味深いものである。