文豪の死に様

門賀 美央子 著

1,650円(税込)

誠文堂新光社

「死ぬ間際まで何かを書かずにはいられない、その辺が文豪の文豪たる所以なのかな」
―京極夏彦(小説家)

太宰治38歳、芥川龍之介35歳。
作家は早死にだ。
いや、志賀直哉は88歳、井伏鱒二は95歳まで生きた。
人生が様々なように、死も様々だ。
生物である限り絶対に避けようがない死。
人生最大の苦ではあるが、時には救済となることもある。

文学という手段で人生に取り組んだ文豪たちは、どんな死を迎えたのか。
迫りくる死の影は、作品に何らかの影響を与えたのか。
死の直前、彼らが見ていたのはどんな風景だったのだろう。

死に方を考えることは生き方を考えることだ。
本書では、小説を通して様々な人生を世に問うてきた文豪たちの人生を、死という消失点にむかって遠近法的に見ていく。
そうすることで、その作家の人生、そして作品をより深く多角的に省察しようとする試みである。

巻末に、京極夏彦氏との対談を掲載!

■目次
樋口一葉■闇落ち前に斃れたこじらせ女子:明治二九(一八九六)年、病死。享年二十四
二葉亭四迷■元祖意識高い系、洋上に死す:明治四十二(一九〇九)年、病死。享年四十五
森鷗外■「馬鹿らしい」と叫びながら墜ちた巨星:大正十一(一九二二)年、病死。享年六十
有島武郎■夢想に生きた男の理想の最期:大正十二(一九二三)年、情死。享年四十五
芥川龍之介■文壇アイドルの先駆的「死」:昭和二(一九二七)年、自死。享年三十五
梶井基次郎■早世の青春作家はバカッター?:昭和七(一九三二)年、病死。享年三十一 
小林多喜二■国に挑み殺された男:昭和八(一九三三)年、拷問死。享年三十 
岡本かの子■鵺は美しく散る:昭和十四(一九三九)年、病死。享年四十九
林芙美子■誰が芙美子を殺したか:昭和二十六(一九五一)年、病死。享年四十七 
永井荷風■偉大なる孤独死の先駆者:昭和三十四(一九五九)年、病死。享年七十九
対談 京極夏彦×門賀美央子