日本語学2019年10月号(特集:日本語の言語文化)vol.38-10

宮地裕 監修 , 甲斐睦朗 監修

1,430円(税込)

明治書院

◆日本語の言語文化

新しい高等学校学習指導要領「国語」では、必履修科目として、「現代の国語」と並んで「言語文化」が立てられた。「言語文化」については、現行の学習指導要領で「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」が設置されて以来、古典指導の枠組の中で活発な議論があったが、新設科目「言語文化」は、これよりも広い射程を持っている。例えば、新学習指導要領の目標「知識及び技能」の部分には、「現代の国語」の「実社会に必要な国語の知識や技能を身に付けるようにする」と対になる形で、「言語文化」には「生涯にわたる社会生活に必要な国語の知識を身につけるとともに、我が国の言語文化に対する理解を深めることができるようにする」と謳われている。こうした目標の意義や実現方法を考えていくことが、日本語学、日本文学、国語教育の研究者・実践者に、いま広く求められている。全般に、国語科における言語の側面が、従来以上に強調された、新学習指導要領であるが、その理念をどのように生かしていくかの議論の場を、『日本語学』誌は積極的に提供していこうと考えている。今回は、「言語文化」の概念からこれを行うものである。

〇言語文化学と言語文化教育 矢澤真人

〇言語文化と日本語史 高山倫明

〇文学の伝統と言語文化 谷知子

〇生徒が使う古語 河内昭浩
 ―「おぼゆ」「をかし」を中心に―

〇教室の「言語文化」をつくる 澤田英輔
―科目「言語文化」における創作への誘い―

〇 言語文化の授業実践 浅田孝紀
 ―「言語文化教育」の基盤としての「言語感覚の育成」と「修辞意識」を中心に―

【連載】

[ことばのことばかり] はんざわかんいち
[校閲記者のこの一語] 高橋雅樹
[漢字を追いかける] 笹原宏之