在宅医療での超音波活用/宮原光興(悠翔会在宅クリニック川崎)[全6頁]

映像情報メディカル 編

500円(税込)

産業開発機構株式会社

超超高齢化社会に突入しているわが国において在宅医療が「特別な医療」でなくなって久しく、全国的に普及するにつれて在宅現場で求められる医療レベルは高まり続けている。在宅医療の現場では住み慣れた生活の場で末永く暮らすことをサポートし、患者の想いに応えることがその直接的な役割であるが、視点を高く置けば不必要な搬送や入院を減らすことで医療費を削減し、限られた社会資源を適切に利用する社会的使命も見えてくる。その両方を果たすためには、体調の変化に対しなるべく早い段階での客観的評価と予防的対応が不可欠である。
人口あたりのCT 台数が世界でも群を抜いている「CT 大国」日本ではあるが、在宅医療において医療機器は機動性・携行性こそ最重要であり、当然ながら在宅では施行することができない。この点においてポケット型超音波機器は在宅の現場に非常にマッチしていると言える。また超音波検査は被曝や侵襲がなく、さらにほとんどの被検者にとって無理のない体位で施行できる点も高齢患者の多い在宅現場でポータブルX 線検査より普及している理由の1つである。本稿では在宅医療現場でのポケットエコーの活用を当院の経験に文献的考察を加え概説する。