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慢性血液透析患者の多くは、透析治療を行うために上肢の動脈と静脈をつなぎあわせる手術を行う。この手術により作成されたものが、バスキュラーアクセス(Vascular Access:VA)である。
近年、糖尿病性腎症や腎硬化症などの動脈硬化性病変を合併する原疾患の透析導入患者が50%を超えた。また、透析患者の高齢化と長期間の透析治療による血管の荒廃があり、VAへの穿刺が困難な症例が増加している。最近では、透析室に超音波画像診断装置を導入し、血管の径や深さなどの形態評価や指先で血管の触知が容易ではない症例の血管描写を支援する活用が増えている。近年、超音波画像診断装置は、画像描出技術の進歩やプローブなどデバイスの改良に伴って高性能化しているが、エコーガイド下で行う穿刺は、技術の習得に困難を要する。
2013年に行われた公益社団法人日本臨床工学技士会による「臨床工学技士に関する実態調査アンケート」調査の中で、VAの穿刺、もしくは管理に超音波画像診断装置を利用するかを問う集計結果は、「利用する」が49 .2%、「利用しない」が50.8%であった。同様のアンケートの設問を前年の2012年も行っており、この時は24 .7%が「利用する」と答えていることから、急速に超音波画像診断装置が普及してきたことが推察される。ま
た、超音波画像診断装置を実際に使用する施設へのアンケートで、導入された装置のタイプを問う集計結果は、高機能(多機能)型41.4%、ハンディタイプ46 .2%、両方12.4%であった。この結果から、全国の透析施設での超音波画像診断装置の導入は約5割程度と考えられ、そこで使われている装置の種類はハンディタイプが一番多かった。本稿では、主にVAへの穿刺を中心に、透析室で必要とされる超音波画像診断装置がどのように使われているかを解説する。