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乳がんは2014年データで日本人女性の11人に1人が罹患するとされ、罹患数は第1位である。また2017年データで日本人女性の66人に1人が乳がんで死亡するとされ死亡数は第5位であるが、年齢階級別にみると30~60代女性で第1位となる。このように本邦のがん対策において非常に重要な疾患の1つにあたるのが乳がんである。その診断にはマンモグラフィ、超音波検査やMRIなどの画像検査、細胞診、針生検などの病理学的検査が用いられて
いるが、画像検査の中で超音波検査の役割は非常に大きい。そしてその超音波検査はBモード断層像による形態評価が基本となるが、造影剤を使用しなくてもある程度のレベルで血流を表示することができるという点は、他の画像検査にはない大きな特長である。
超音波検査における血流評価手法として、Aplioシリーズ(キヤノンメディカルシステムズ株式会社)には、Color Doppler Imaging( CDI)、Power Doppler Imaging( PDI)、Advanced Dynamic Flow( ADF)、
Superb Micro-vascular Imaging( SMI)の4つの血流表示モードが搭載されている。また超音波造影剤ソナゾイド®(第一三共株式会社)を使用した造影超音波検査では、Contrast Harmonic Imaging( CHI)とSMIでの観察が可能である。このようにさまざまな血流評価手法があるが、これらは単に血流が可視化されるだけでなく、それぞれの手法により特徴があり、見えてくるものが異なる。適切な血流評価を行うためにはこれらの特徴を十分理解し、目的にあわせて適切な手法を選択する必要がある。本稿では乳腺領域における微小血流評価として、こ
れらさまざまな血流評価手法の特徴や使用時の注意点に関して、実際の症例を交えながら述べる。