リング型乳房専用PET装置『Elmammo Avant Class』（エルマンモ アヴァンクラス）について／株式会社島津製作所［全5頁］

映像情報メディカル 編

500円（税込）

産業開発機構株式会社

乳がんは、女性のがん種の中では最も罹患数の多いがんであるが、Ⅰ期、Ⅱ期の早期に発見して治療すれば、生存率が80％以上と非常に高いことが知られている。国立がん研究センターの報告では、腫瘍径10mmを境に、乳がんの10年生存率に有意差があることが報告されており、10mm未満の腫瘍を検出できれば、乳がんによる死亡者数の減少に寄与できると考えられる。
FDG-PET検査は、1回の検査で全身を撮像できる検査法であり、乳がんにおいても、術後の局所再発や転移検索などにおける有用性が認められている。しかし、全身PET検査によって得られた乳房PET画像は、解像度の低さ、仰臥位撮像による乳房の変形、呼吸体動の影響などにより、10mm未満の乳がんの検出は難しいと言われている。これらの課題を解決するために、島津製作所はより高精度な乳がんのイメージングを目指した乳房専用PET装置Elmammoを開発し、2014年9月に発売した。Elmammoは、全身PET装置と比較して感度および解像度が高いことにより、微小病変の描出能が高いだけではなく、高濃度乳房などの影響でマンモグラフィや超音波検査では検出困難であったにもかかわらず、Elmammoによって検出できた例や、MRIと同等レベルの精度を示す症例など、Elmammoの有用性は徐々に認められている。特に、マンモグラフィに比べて痛みのない乳房検査が可能であることが受け入れられ、国内において10台が稼働している（2017年8月現在）。
Elmammoの発売以降、ユーザから寄せられた課題を実現し、使いやすさをさらに追求するとともに、乳がん診断の可能性をいっそう高めることを目指して、Elmammo Avant Classを開発し、Elmammoの後継機として2017年9月に販売を開始した。本稿では、改良点を中心に、Elmammo Avant Classの特長と効果について紹介する。