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経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development:OECD)加盟国で、放射線検査の把握が可能な国々の中で、わが国は画像診断機器の普及率が最も高い。しかし、年々増加する医療被ばくに対応するために、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation:UNSCEAR)、国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection:ICRP)、国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA)、世界保健機関(World Health Organization:WHO)といった国際機関や団体が協力して、エビデンスベースの医療放射線防護の実現に向けた検討が行われており、その対策の1つが、防護の最適化のための診断参考レベル(Diagnostic Reference Level:DRL)の適用と普及である。DRLは、超えてはならない線量値(線量限度)ではなく、優れた診療と劣った診療の境界でもない。各施設で用いている典型的な線量がDRLを超えているか判断し、もし超えていれば、検査時の線量が最適化されているかどうか見直し、使用機器の性能やプロトコル(撮影条件)などを再考し、より適正な線量の使用に向けた対策を講じるための機会となる。現在、CTの標準的撮像条件は120kVの管電圧を用いたものがstandard dose CTとされているが、機器の進歩により時代とともに“標準的(standard)”は変化するものと思われる。