乳房領域におけるSMIの有用性/安田秀光ほか[全6頁]

映像情報メディカル 編

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産業開発機構株式会社

日本女性にできるがんでは、乳がんがもっとも多い。いまや年間76,839人の乳がん患者が新たに発見され(2013 年)、年間1 万4 千人の方が乳癌でなくなっている(2016年)。また年代別罹患率では40代が罹患率のピークのひとつになっている。すなわち、高濃度の乳房の年齢層に多く乳がんが発生し、いかにそれらを早く発見することが大きな課題となっている。
乳がんの超音波診断は、腫瘤と非腫瘤に分けて考えることができる。
腫瘤性病変は、形状、境界・境界部、縦横比、内部エコー、後方エコーなどから診断することができる。他方、非腫瘤性病変は、腫瘤で使われたような評価項目では、診断することが難しい病変で、乳管の異常、低エコー域、多発小嚢胞、構築のみだれ、点状高エコーなど5つの主所見から診断できる病変である。しかし非腫瘤性病変の診断において、この5つの主所見のみでは、治療を必要としない多くの非腫瘤性病変が検出されてしまう。主所見の分布とともに、同部位でのVascularity、硬さの評価が重要な参考所見となる。区域性に分布し、同
部位の血流が周囲に比べて多く見られ、硬さも増加していれば、腫瘍性変化を考える必要がある。1cm以下の小さい腫瘤性変化も、先ほど示した評価項目のみでは、診断が困難なこともあり、非腫瘤性変化同様に、Vascularity、硬さの評価が重要な参考所見となる。