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治療や手術における画像診断装置の用途は、術前の確定診断のための臨床画像提供だけにとどまらず、術中の画像による治療支援へと広がっており、近年、その画像支援環境の重要性は、さらに高まっている。またCTやMRIなどの画像を、ナビゲーションシステムと連動させて手術支援に用いる方法も浸透してきている。しかし、術前の画像撮影時と手術時では患者体位が異なることが多く、位置情報の補正が困難もしくは不可能な場合があるため、手術中でも画像収集が可能な画像診断装置への要望が高まっている。現在、手術中に撮像できる代表的な画像診断装置としては、CT、MRI、アンギオなどがあり、それらの画像診断装置を、手術室と同室に画像診断装置を設置する1ルームタイプ、手術室の隣室に画像診断装置を設置する2ルームタイプや、複数の画像診断装置を配置するマルチモダリティタイプなど、それぞれ手術部位やその目的に応じた設置方法がある。現在、もっとも多くの施設で手術室に設置されているのが、アンギオ装置で、2000年中頃から導入が始まり、2012年頃より急速に増加した。手術室にアンギオ装置を設置した部屋はハイブリッド手術室と呼ばれ、現在では200施設程の導入施設がある。このハイブリッド手術室は、経カテーテル大動脈弁置換術(Transcatheter aortic valve replacement/implantation:TAVR/TAVI)には必須となっているため(2017年11月現在)、装置導入の大きな牽引役となった。本稿では、ハイブリッド手術室での使用を前提に考え設計された、シーメンス社製ハイブリッド手術室対応多軸透視・撮影システムについて述べる。