Compressed SENSEのクリニカルアプリケーション:高速撮像の現実化/後藤康裕ほか[全7頁]

映像情報メディカル編集部

500円(税込)

産業開発機構株式会社

MRIは多様なコントラストが得られ、非侵襲的にさまざまな情報を得ることができるモダリティである。しかし、MRIの撮像技術が日々進化するなか「撮像時間短縮」は常に課題であった。近年、新たな高速撮像技術として少数のサンプリングデータから画像に必要な元データを復元し、画像再構成を行うCompressed Sensing(CS)が注目されている。さらにCSを発展させた技術としてCS とパラレルイメージングのSensitivity
Encoding(SENSE)を融合させたCompressed SENSEがフィリップス社で開発され、臨床応用が期待されている。東京女子医科大学病院ではCompressed SENSE が本邦でいち早く導入され、Compressed SENSE を用いてさまざまな部位を撮像しその臨床的有用性を検討してきた。本稿ではCompressed SENSE による高速化、高分解能化、アーチファクトの低減などの臨床的有用性を中心に紹介する。マルチチャンネルによって得られた感度マップのデータを用いて再構成を行い、撮像時間の短縮を行っている。一方、新しい撮像高速化技術であるCSはランダムに信号を収集し、wavelet変換を用いて効果的にノイズ除去を行うことで従来よりも少ない信号収集で画像再構成を行う技術である。Compressed SENSE は、SENSEの画像展開アルゴリズムにCSのランダムサンプリングとノイズ除去を組み込むことで、画質の劣化を最小限に抑えたまま高速に撮像を行うことができる、いわば2 つの撮像高速化技術のベネフィットだけを合わせた撮像法であるといえる。従来のCSはある特定のシーケンスとの組み合わせに限定されることが多かったが、Compressed SENSEは自由度が高く、多くのシーケンスと組み合わせが可能なため全身領域の臨床応用に期待がもてる。東京女子医科大学病院での初期経験か
ら、Compressed SENSEの利点が生かされた印象的な例を紹介する。