脳神経疾患に対する経頭蓋MRガイド下 集束超音波治療(TcMRgFUS)/堀 大樹ほか[全12頁]

映像情報メディカル編集部

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産業開発機構株式会社

脳神経疾患に対する経頭蓋MRガイド下集束超音波治療(Transcranial MR guided focused ultrasound treatment:TcMRgFUS)は、2005年、ボストンのBW Hospitalでのglioblastoma症例が最初であるが、5例目の脳出血死亡例によりこの臨床研究は中断された。その後スイスで、視床痛に対しての両側中心内側核への視床破壊術(thalamotomy)が報告され、これが機能的脳神経疾患に対する応用の嚆矢となった。超音波のキャビテーションへの対応が改善され(第2章詳述)、2010年より、現在のモデルであるInSightecExAblate Neuro 4000による本態性振戦への本格的な臨床研究が世界各地で開始され、日本でも2013年5月に当院で第1例目が施行された。pilot studyの後、PhaseⅢの世界共同臨床研究(ET002)が施行され、2016年8月にNEJMに報告された(第4章詳述)。このデータを基に、アメリカ、韓国、カナダ、日本(2016年12月)などで薬事認可され、2017年4月に、日本脳神経外科学会ガイドラインが公表された。2017年7月時点で、日本で100例、世界では1 ,000例(75%が本態性振戦症例)が施行されている。世界10ヵ国36施設(日本で9施設)で稼働中である。本稿では、この治療の原理、実際、臨床研究の結果、今後の方向などを概説する。