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ジャズはアメリカ黒人が作ったものである。彼らが白人音楽を吸収してジャズを作ったもので、アメリカ人はよく hybrid(混血)という言い方をする。この表現は概して白人は喜んで使いたがるが、混血であっても白人が黒人を強姦してできた混血だ、と私はよく比喩的に言ってきた。もちろんこれはあまりにも穿った言い方だと非難されるかもしれない。しかし両者が愛しあって結ばれてできた混血でないことは確かである。仕方なしにできた混血というところだろうか。つまり、黒人が白人音楽を(やむを得ず)吸収してジャズを作ったものであって、白人が黒人音楽を吸収してジャズを作ったのではない。それは不思議なことだが間違いないことであり、そこにはいくらか意味がありそうだ。ただ最初のうちは「黒人が白人音楽を吸収してジャズを作った」が、進むにつれて「白人が黒人音楽を吸収する」ということも起きてくるし、アメリカはいろいろな人種が入りまじっているので、そのうちいちいちなに人がなに人の音楽を吸収したのか明確に言えない事態になってくる…『ジャズ詩大全』の著者によるアメリカン・ポピュラー音楽についての考察。
【著者略歴】
村尾陸男(むらおりくお) ─ 1942年北京生れ。慶応義塾大学工学部中退。1962年頃からジャズ・ギタリストとしてプロ入りし、’66年、記録映画の撮影に従事して渡米。翌’67年に帰国してからジャズ・ピアニストに転向し、演奏活動に励む。近年は劇団四季のミュージカル【Crazy for You】、【Contact】などの訳詞を担当。英国の発声指導書『How to Sing』(by Graham Hewitt)を邦訳してから呼吸発声学について研究しはじめ、ジャズ・スクールで十余年間、呼吸発声の講師をつとめる。『ジャズ詩大全』シリーズ他、『ティ・フォー・トゥー物語』、『スポーツ精神』、『ピアノ・フィンガー・ウェイト・トレーニング』など著書多数。現在、ジャズクラブ・ファーラウト並びに教室ファーラウト代表。