鬱屈精神科医、占いにすがる

春日武彦

1,382円(税込)

太田出版

"心の医者にとって救済とは?

「わたし」を救ったという「透明な裁縫箱」が数十年をかけて結晶化し、本という姿になって今ここに現れた。

私小説にして哲学書、文学にいざなう力に満ちた、豊かな本だ。

小池昌代(詩人・作家)

精神科医は還暦を迎えて危機を迎えていた。無力感と苛立ちとよるべなさに打ちひしがれる。しかし、同業にかかるわけにもいかない。それならいっそ街の占い師にかかってみようと思い立つ。はたして占いは役に立つのか。幾人もの占い師にあたっていって、やがて見えてきたもの……。人間が“救済”されるとはいったいどういうことなのか。私小説的に綴られる精神科医の痛切なる心の叫び。
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